【建売?注文?】どんな違いがあるの?
巷でよく耳にする「建売住宅」と「注文住宅」ですが、一体どんな違いがあるのか・・・・
一級建築士である私が個人的な見解で解説します。
人によって意見が異なると思いますので、一つの参考材料としてください。
●建売住宅と注文住宅の簡単な違いについて
まず、それぞれの簡単な説明として・・・
建売住宅:建ててから売り出す住宅
注文住宅:注文を請けてから建てる住宅
と文字通りの意味となります。
また、メリット・デメリットについては・・・
・建売住宅
メリット:比較的すぐ住める、価格が安い
デメリット:間取りやデザインを決められない
・注文住宅
メリット:間取りやデザインを決めやすい
デメリット:すぐ住めない、価格が高い
などの違いがあります。
とはいえ、上記に明記されていることは、どの情報サイトや住宅販売サイトなどに記載されているものです。
ここからは、序盤にも明記させて頂いた、私の個人的な見解を記載させていただきます。
●ぶっちゃけ「建売と注文」ってどっちがいいの?
私自身、一時期ハウスメーカーに勤めていた経歴があり、様々なハウスメーカーのモデルハウスなどを見学させて頂きました。
ぶっちゃけ・・・・注文住宅がいいと思いました。
私が勤めていたハウスメーカーは建売住宅をメインでした。
その経験の中でも、建売住宅にはデメリットが大きすぎると考えています。
その大きすぎるデメリットとは・・・
・注文に比べて、品質が低い傾向にある
・長期的な維持が難しい
・防犯性、耐震性などが考慮されていない
・注文に比べて、スペースにゆとりがない
・引越しの際に、搬入出来ない家具がいくつかある
・デザインや間取りが単調
・施工ミスが生じやすい
・外構の安っぽくなってしまう傾向がある
と、ざっと記載するだけでもこれだけのデメリットがあります。
もちろん、上記以外にもデメリットが多くあると思いますが、個人的には上記の内容が大きなデメリットの概要であると考えます。
この上記の中でも、特に重視すべきであると思われる、
・注文に比べて、品質が低い傾向にある
・防犯性、耐震性などが考慮されていない
・施工ミスが生じやすい
・引越しの際に、搬入出来ない家具がいくつかある
について、詳細な説明をいたします。
●注文に比べて、品質が低い傾向にある
(・長期的な維持が難しい)
「建売住宅」はハウスメーカーが先行で建てて売るスタンスであるため、始めからお客様がいるわけではないので、ハウスメーカー考えが全面的に押し出された家になっています。
また、価格を抑えるためなるべく同じ間取り・同じようなデザイン・グレードの低い仕様などにする傾向があります。
したがって、低価格・低品質の家が完成しやすくなります。
技術者の目線より、低品質になりやすい原因としては、屋根材・外壁材・断熱材・窓などの主に外部に面している材料の品質が低いことが挙げられます。
建売住宅では、
屋根材:スレート屋根
外壁材:サイディング
断熱材:グラスウール
窓:ペアガラス
などが主に使われていることが多いです。
屋根材や外壁材は一部の注文住宅にも使用されることはありますが、基本的には耐久性に期待できる材料ではないため、強い衝撃などにより割れや破損のおそれが高くなります。
断熱材もグラスウールを使用する注文住宅メーカーが一部ありますが、湿気に少しでも触れてしまうと、断熱性が著しく落ちてしまいます。
特に窓については、各ハウスメーカーが断熱性・防音性を向上させた窓などを発表していますが、建売住宅の窓は基本的にそのような考慮は一ミリたりともありません。
さらに、窓は大きさによって、熱の逃げやすさが変わってきます。
イメージが着きやすいと思いますが、窓が大きいと熱が逃げやすくなります。
当たり前のことではあるかもしれませんが、そんなことまで考慮できていないハウスメーカーや工務店は未だに存在します。
私が個人的に品質を高めていくとすれば、
屋根材:瓦葺き
外壁材:コンクリート系の外壁材
断熱材:スタイロフォーム
窓:高気密・高断熱
といたします。
もちろん、高品質になるためそれなりの価格帯になるため、現実的ではありません。
予算によっては、変更するかもしれませんが、私が特に重要視するとしたら断熱材と窓はお金をかけてもいいと思います。
また、窓に関しては、法律上の規定を満たしていれば、必要最低限の数・大きさにすることで効率的なコストカットが実現できます。
デザインのことを考慮することも重要ですが、快適に住むためには品質は捨てきれない重要な項目となります。
・防犯性、耐震性などが考慮されていない
一部の建売住宅に限定されますが、1階に泥棒が入れるような窓があります。
具体的には、幅・高さ共に35センチ以上の窓がある場合です。ただし、面格子やシャッターなどの防犯設備が整っている場合は除きます。
理由として、幅・高さ共に35センチ以上の窓には、人の肩が入り侵入される恐れがあるためです。
耐震性については、こちらで他サイトに明確に記載されていますので、簡単にご説明します。
建売住宅の耐震性は、建築基準法に定められている最低基準になっていることが多いです。しかし、建築基準法の耐震性に関する基準は、今まで発生した大きな地震には軒並み対応していません。
したがって、建売住宅は耐震性が低くなる傾向にあります。
・施工ミスが生じやすい
建築業を営む上で、施工ミスは恥であると私は考えています。
施工ミスとは、施工者の怠慢で起こることであると思いますし、私自身、施工ミスをまじかに見てきた中で信じられないことが起こったりします。
建売住宅には、そのような施工ミスが引き起こされやすいと考えています。
理由としては、従業員の就労環境が悪く、離職者が多く、まともな技術者が育たないためです。
ハウスメーカーは、基本的にブラック企業ですが、建売住宅のメーカーは薄利多売の傾向であるため多くの家を売らなければなりません。
更に、住宅に対する設計や施工の検討期間も短いためミスが生じやすくなっております。
したがって、頭を使えないかつ未熟な技術者による家造りとなってしまい、施工ミスが生じやすくなってしまいます。
後日にはなりますが、施工ミスの事例やどういった所を見ることで施工ミスのない家に住めるかについての記事を書いていきます。
・引越しの際に、搬入出来ない家具がいくつかある
こちらは皆さんに注意してご確認して頂きたい部分ですが、建売住宅には、搬入出来ない家具がある場合があります。
特に、ダブルベッドなどの大きなものの搬入が出来ずにトラブルになる可能性があります。
主な理由としては、階段の間口(幅)が狭い・2階の窓が小さすぎて搬入できないなどがあります。
引越し業者などによっては、ユニック車による小型クレーンで吊るなどの措置とる場合もありますが、追加費用が掛ってくる可能性があるので確認しておく必要性があると思います。
以上、私の見解から「建売住宅」と「注文住宅」の違いを記載してきました。
念のためですが、あくまでも私の見解です。
正直、いろいろな方によって見解も異なりますし、私の見解が間違っているとおっしゃる方もいらっしゃると思います。
とはいえ、自分の考えを押し付けるような営業マンや設計士には近づかないことをお薦めいたします。
読者の皆さんには、少しでもいい建物に住んでいただけることを祈っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。